はちのへ西脳神経クリニック > 認知症について
加齢は記憶能力を低下させますが, 物忘れ=認知症ではありません.物忘れとは”人の精神活動が普段と多少異なっていたり,衰えていたりする状態”であり,一方,認知症は”一旦発達した知能が,何らかの原因により脳が破壊され,再び持続的に低下した状態”です.つまり,物忘れは自覚や自分の置かれている環境・状況の認知はあり,日常生活に支障なく,記憶の一部だけを忘れている状態でそれほど進行はせず,昔の記憶をなくすることはありません.対して認知症は知能が持続的に機能低下をきたし,日常生活に混乱をきたし進行していくものです.
認知症をきたす代表的な疾患には下記のものがあります.
物忘れ,日時や場所がわからなくなる,といった症状が徐々に進行する病気で,認知症の原因疾患の半分以上を占めています.進行はゆっくりですが,中には数年で高度の認知症になってしまう方もいます.多くの方が老年期に発病しますが,初老期に発病する場合もあります.脳でアセチルコリンという物質が減少しますので,脳のアセチルコリンを増加させる薬剤を治療薬として使用します.
K.Meguro et al.:Arch Neurol,59,1109-1114 (2002)
脳血管障害が原因で認知症を発症した場合,脳血管性認知症と呼びます.原因となる脳血管障害は,大小の多発性脳梗塞,脳の慢性的な血液循環不全,脳出血など様々です.また,軽いアルツハイマー病に脳血管障害が合併して認知症の症状が出ることもあります.
認知症としてはアルツハイマー病に似た症状を示すことが多いですが,幻覚や妄想が強いという特徴があります.また,パーキンソン病と同じように四肢が固くなって運動障害を起こしたり,自律神経の障害を起こしたりもします.治療は,アルツハイマー病の治療薬が効果的な場合もあり試みられますが,根本的な治療薬はなく,抗精神薬による精神症状のコントロールと運動障害に対してはパーキンソン病と同じ治療が行われます.
適切な診断・治療によって回復する可能性がある認知症があります.たとえば,慢性硬膜下血腫,正常圧水頭症,脳腫瘍,高齢期のうつ病,甲状腺機能低下症やビタミンB欠乏症などの代謝・栄養疾患,などです.
これらは,もともとの疾患を治療することによって認知症状が改善する可能性があります.
慢性硬膜下血腫
特発性正常圧水頭症
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